Sahara's WebLog

日記のような、備忘録のような、うらみつらみのような、自慢のような…。

科学音痴2

くどいようだが、朝日新聞の
「飛行士が月面に立てた旗が、大気がないのに、はためいて見える。NASAの捏造」と主張する人もいて
という記事の程度の低さについて考えてみることにした。

きっかけは、知り合いの中学生が上の内容をそのまま引用して、だからアメリカは月へは絶対に行ってないと、真顔で言っているのを耳にしたからだ。しかも、そこそこの成績の生徒らしい。
AS11-40-5874.jpg

飛行士が月面に立てた旗が、大気がないのに、はためいて見える。

は、根本から論理がおかしいのだが、それがわかるだろうか。
1.はためいて見える—>大気がある
2.大気がある—>地球上である
よって、
3.はためいて見える—>地球上である
という論法なのだが、実は肝心の「はためいて見える」が全く検証されていない点に問題がある。
あれは本当に「はためいている」のか?
それが明らかにならない限り、上の1~3への展開は根本で挫折することになる。

実はあれは設置するときにシワを伸ばさずにそのまま立てた、あるいは月面に突き刺す際にぐりぐり回しながら差し込んだ際に旗にシワが寄った。

というのが真相だと思う。
で、ここが肝心なのだが「大気もなく引力の影響も少ない月面ではそのシワがそのままの形で残ってしまった。」と考えられるので、逆にあそこは地上ではないことの証明になってしまう。

いずれにしても、写真の撮影が地球上で行われたということを証明するためには、写真の旗は「はためいているように見える」ではなく「確かに風ではためいている」のだということを示さなければならないわけだ。

さて、朝日新聞のずるさはむしろ次の点にある。
「と主張する人もいて」
非常にうまく責任を他人に着せられるような書き方になっている。明らかに程度の低い科学的知識に欠ける議論をわざわざ取り上げて、でもそれは朝日が言ってる訳じゃないからね。と逃げ道まで作ってあるわけだ。
およそ報道機関に許されるべき態度ではない。

本来、あの記事はこう書くべきだ。

2009年7月18日19時33分
アポロ足跡を撮影
米航空宇宙局(NASA)は月面に残っている宇宙船アポロの着陸船の残骸と宇宙飛行士の足跡を、6月に打ち上げた月探査機LROが撮影できたとして、画像を17日公開した。
 帰還のための発射台となった台座で、月面に着いた6機のうち5機分を公開。機体の形ははっきりわからないが、機体の影が写っている。残る1機も近く撮れそうだという。足跡は14号の飛行士のもので、引きずって歩いたような線状の跡が写っている。
(ジョンソン宇宙センター〈米テキサス州〉=東山正宜、ワシントン=勝田敏彦)

何が異なる点なのかは明らかだ。
「予断を交えずに真実のみを伝える」
朝日新聞に今後も報道機関を標榜し続けるつもりがあるならば、面白おかしく都市伝説レベルの内容に触れる必要は全く無いのだ。

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Posted under: マスコミ


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