昨日、某巨大掲示板のその筋のスレを覗いていたら、私と同じようにジップロックでエッチングしているらしき人が1回に10mL程度で済むと書いていた。
塩化第二鉄液でなく、過酸化水素にクエン酸を混ぜるとかいう方法の話が、定期的に出ては消えの繰り返しなのだが、今回もその流れの中で出た話のようだ。
プリント基板に手を出すときに色々調べて、エッチングの方法が色々あるのは知っていた。
でもまあ、最初から奇をてらったやり方をしてトラぶっても仕方が無いので、とりあえずは手堅くサンハヤト エッチング液 1000cc (H-1000A)で始めることにした。
エッチング液 H-1000A
実際のエッチングは、それこそサンハヤトの製品で言えば、サンハヤト 卓上小型エッチング装置 ES-10という立派なものから、バットに入れてやる方法から、いろいろ見つけた。
一番お手軽そうで、済んだら全部捨てちゃってもいいようなものだけでやる方法として、ジップロックに入れて行う方法を見つけた。
小物の整理用に100均で買ってあったジッパー付きビニール袋があったので、この方法で行くことにした。
エッチング液はダイソーで買った注射器で量って袋に入れる。
これは、化粧品を小分けするのに使うものらしい。
エッチング後の廃液を袋から一時保存用のペットボトルに移すときにも使う。
そして、バット。
タイマーとボウルは、昔過ぎて購入時の写真が見つからないが、いずれにしても以下のような状態でエッチングする。
件の掲示板でのやり取りでは、10mLに対して「んなアホな。」という反応もあった。
そういえば、どこかで聞きかじって15mLくらいでやり始めただけで、それが実際に妥当な量なのかちゃんと確かめてはいない。
そこで、この量がどうなのかちょっと計算してみる。
サンハヤト エッチング液 1000cc (H-1000A)には、
100×150mmサイズの片面基板が約15枚処理できます。
とある。
自作なので基板のサイズはさまざまだが、仮にユニバーサル基板 Cタイプを仮定すると、サイズは 72 x 47mm となっている。
サンハヤト エッチング液 1000cc (H-1000A)にはもちろんエッチング液が1L入っている。
以上をもとに、いったいユニバーサル基板 Cタイプ1枚あたり何mLのエッチング液が必要なのかを計算してみると以下のようになる。
( 100 × 150 × 15 ) ÷ ( 72 × 47 ) = 66.5 枚(Cタイプ基板サイズに換算)
1000 ÷ 66.5 = 15 mL/枚(液量を枚数で割る)
その結果、Cタイプ基板1枚当たりでは15mLのエッチング液が必要ということになる。
面実装がほとんどの最近では、Cタイプのサイズといえば大きい方の部類に入る。
つまり、10mLは決して「んなアホな。」というようなことではなく、妥当な数字ということ。
理系の板のプリント基板を自作するようなスレだと、一見、新しい情報に敏感で、合理的な思考を好む人間が集まるという先入観を持つが、実際はどうして、頭の固い、精神的な「爺様」の方が多かったりする。
「んなアホな。」でかたずけてしまうような発想の人間はできれば理系の分野に手を出すのをやめた方がいい。
ともあれ、基板1平方センチあたり約0.5ミリリットル換算で袋に入れれば十分だ。
大事なのは、ジッパーを閉じる際に空気をちゃんと抜いて、基板がちゃんと液に浸るようにすることだ。
追記
コスト計算を忘れていたので書く。
サンハヤト エッチング液 1000cc (H-1000A)の相場は、送料込み3000円程度だ。
上の数字を使ってCタイプ基板サイズに換算すると、3000 ÷ 66.5 = 45円 になる。
これには廃液処理に使う鉄粉や消石灰の費用も含まれている。
クエン酸やらオキシドールやらを買い込んできて適当に混ぜ混ぜしてやる方法が手軽だとかいう意見も見かける。
もちろん、定量的な話がほとんど見つからない試行錯誤的な方法、というか、それで満足しているレベルの人間が好んで用いる目先のコストだけしか考えない安易な方法、で十分だという個人の都合をとやかく言う気はない。
「クエン酸エッチング」でググってみて自分で判断すればいいことだ。
サンハヤト エッチング液 1000cc (H-1000A)なら、何回かクリックするだけで翌日には玄関先に届いて基板1枚当たりのコストは45円しかかからないのだから、クエン酸やらオキシドールやらなどと比較する気にはならない。
実際の作例はこちらから。